2013年8月11日日曜日

井上さとし参議院議員が福島第一原発の現状、政府のずさんな対応を報告

報告する井上さとし参議院議員

本日・8月11日、原発ゼロ・山科の会の総会が行なわれました。中嶌哲演さん(小浜市・明通寺住職)の記念講演とあわせて、先の参院選で当選した日本共産党・井上さとし参議院議員が特別報告を行ない、福島第一原発の現状と、安倍・自公政府のずさんな対応をリアルに紹介しました。その一部をご紹介します。

参院選投票日の翌日になってから大量の汚染水漏れを発表


参院選では、国民の民主党政権の体たらくにたいする憤りから自民党が勝つということになりましたが、その政策に白紙委任をあたえたわけではありません。個々の問題を見ていくとむしろ国民の過半数がノーの声をあげています。原発政策で言うと、自民党は選挙中、まともにこのことを語りませんでした。そして、重大な事実については全て選挙後に明らかにするというやり方をとりました。一番ひどかったのは、投票日翌日の7月22日に福島第一原発の汚染水が海に漏れているということを発表したことです。
すでに6月19日の段階で地下水にトリチウムやストロンチウムの異常な数が出て、海洋への流出があるのではないかということが言われていました。東電の社内では19日の段階で確定的な報告がされていたのに、発表は投票日翌日にした。このこと一つとっても、国民に重大な事実を隠し、争点そらしをしたということが言えます。

原発再稼働ノーが多数派に。国民の世論と国会議席のねじれ


それでも国民は原発再稼働にノーの声をあげているということが重要です。共同通信が選挙後に世論調査をしていますが、原発再稼働反対は58%という数字になっています。実はその10日前、選挙戦の最終盤にも共同通信は世論調査をしていますが、それよりも7ポイント上がっています。ですから、選挙戦を前後した安倍政権の暴走、地下水の海洋への流出などを知って、国民は選挙後、再稼働ノーの声を強くしているということがあります。
私はこの世論、底堅い世論だということを強調したいと思います。2011年3月11日に原発事故が起こりましたが、直後の4月に読売新聞が行なった調査では、原発を「増やすべき」が10%、「現状維持」が46%あったんです。
こんな大事故を目の当たりにしながら過半数の国民が原発の現状維持、ないしは増やすことを求めていることにびっくりしたんですが、その後、テレビに出ている「専門家」なるものがいかにエセ科学者かということを見抜くなかで急速に世論は変化し、翌5月の段階では「減らす」「全廃」あわせて59%になりました。そして今年3月の段階では「減らす」「全廃」が73%になっている。国民の皆さんが自らが学び、体験をするなかで原発は減らしていくべき、ないしは無くしていくべきだという世論がつくられて、そして再稼働は行なうべきでないという先ほど言った数字になっています。
私たちは、この皆さんの力に依拠をして、国会のなかでの力関係は原発推進派が多数なわけですけれど、そこには国民との大きなねじれがあるわけで、国民的な運動を広げて、再稼働をやめさせ、原発ゼロへと向かっていくということをお互いがんばり抜きたいと思っています。

福島第一原発の汚染水はどうなっているか


それをすすめる上で、いま福島第一原発がどうなっているか、とくに汚染水がどうなっているかということをご報告したいと思います。ひとことで言いますと、福島第一原発の事故は収束どころかいっそう拡大している。そう私たちは言ってきましたけれど、いよいよそれが重大な局面になってきています。
8月7日に、政府は毎日300トン以上の汚染地下水が海に流出しているということを初めて認めました。きわめて重大な事態です。これは、これまでの説明とまったく違うんです。今年の春の段階では地下水が福島第一原発に流れ込んできていると。ご承知のように福島第一原発は圧力容器も格納容器も破損をしています。そこに使用済み核燃料がありますから、水を循環させて冷却をしているんですが、その建屋のなかに地下水が毎日400トン流れ込んでいると。格納容器が壊れているので、冷却水と地下水が混ざってしまって、毎日400トン汚染地下水が増えていますと、こういう説明でありました。その地下水をあの敷地のなかにある大きなタンクのなかに入れていると。一部、地下貯水槽に入れたものが漏れ出したということが大きな問題になったわけですが、そういう説明でありました。
ところが、今回説明されたのは、全体として毎日約1000トンの地下水がそこに流れ込んでいると。400トンが原発の建屋に流れ込んでいて、それ以外の600トンがいろんな配管によって汚染されて、そのうち300トンが海に流れ込んでいるという説明になったわけです。ですから、建屋に毎日流れ込んでいる地下水が漏れ出すとか、タンクに入れてもやがていっぱいになってしまうどうするんだとかいうことが問題とされてきたんですが、それ以外のところで漏れ出しているということが、今になって明らかにされたわけです。
これまでも専門家などから地下水が海に流れているんではないかということがたびたび指摘されてきたわけですが、一貫して東電も政府もこれを否定をしてきたわけです。
この汚染水の地下水の海洋流出が指摘をされるなかで、東電はあわてて7月の初めから福島第一原発の一号機、二号機と海の間にガラスの遮蔽壁を漏れ出さないようにつくりました。これは工法上、地面から1.8メートル下にしかできないんですが、この上を超えて地下水が流れ出ているということが数日前に明らかになって、本当にひどい事態になっています。
どれだけのものがでているのか、まだはっきりしませんが、例えば東京海洋大学の神田教授は、東電の分析したデータをもとにして、約17兆ベクレルのセシウム137が海に流出したと言われています。東京大学の生産技術研究所が7日に発表したことによりますと、海底の窪地に非常に高濃度のセシウム137がたまっているところがあり、周辺よりも2倍から10倍以上濃度の高い場所が40カ所見つかったと言われています。陸上のホットスポットということが言われていますけれども、海のなかにもそういう場所があるということが指摘され、改めて、魚介類の影響調査が必要だということが言われております。

政府の無責任な対応が重大な事態をつくりだした


福島県漁連は怒りの会見をされておりましたけれども、こうした情報を小出しにして、しかも選挙後に出すというやり方をしているということ。対策が後手後手であり、東電任せにして政府がまともな対応をしてこなかったということが、今日の本当に重大な事態をつくりだしているわけです。
選挙前の最後の予算委員会で、私もこの問題で安倍総理などと論戦をしました。政府は総理を本部長とする原子力対策本部というものをつくっております。そのもとに、「福島第一原発 廃炉対策推進会議」というものをつくっているんです。この廃炉対策推進会議のメンバーは誰ですかと聞きますと、責任者・議長は経済産業大臣ですが、何とメンバーは東芝の社長、日立の社長、東京電力の社長、もんじゅを保有している原研の理事長。これに文部科学副大臣と。これがメンバーなんですね。これまでさんざん原発を安全だ安全だと言って推進してきた人たちが、廃炉対策推進会議ですと。こんなことダメじゃないかと、専門家をちゃんと入れなさいと私が質問しますと、当時・茂木大臣は「共産党の言うように素人ばかりではダメなんだ」と全くとんちんかんな答弁をしました。私たちは推進派ではなくて、ちゃんとした専門家を入れて、英知を結集してこの汚染水対策や廃炉の問題をきちっとやるべきだということを言ったわけです。
「廃炉対策推進会議のもとに、汚染水処理対策委員会というものを専門家も入れてつくっています。ここでいろんな中長期対策も練ります」と、こういう答弁でした。この汚染水処理対策委員会がどうなっているかと言いますと、4月に発足をして、3回会議をやっただけなんです。先月、この汚染水の大規模な漏れ出しが明らかになった後も、この対策会議は開かれておりませんし、「しんぶん赤旗」が問い合わせますと、「開く予定も決まっておりません」と。

再稼働・輸出をすすめるため、事実を隠し、対策を怠ってきた―3.11前と変わらない体質


こういうことになっておりまして、全くまともな対応を政府はしてきませんでした。質問でも追及したんですが、この廃炉対策推進会議の第1回目の会合のときの議事録によりますと、わざわざ「福島第一原発が安定した状態を継続していることを確認した。」と書いてある。対策推進会議で、これだけダダ漏れになっているのに、「安定している」ということを「確認」している。これではまともな対策はできないじゃないかと質問しますと、「原子炉の温度が下がって安定していることを言っているだけで課題はいろいろあるんです」と言い訳をしましたが、文書には「原子炉」なんて書いてないですよ。「福島第一原発」が「安定した状態」になっているということを書いているわけで、結局、こういう認識なんですね。
重大事態という認識自体が問われますし、さらに逆に言えば、質問したのが4月の末でしたが、その後5月に安倍総理が先頭になって原発のセールスに諸外国に行ったわけです。つまり、再稼働や輸出をするためには、福島原発が収束しないどころか被害が拡大しているということが国民的にも国際的にも明らかになるのはまずいということがあったんだろうと思います。
こういう政府の態度、東電の態度がまともな対策を怠って、今日こういう事態になっているということだと思います。
結局、原発を再稼働させること、わざわざ成長戦略のなかに書き込んでいる原発輸出を優先をして、安全や国民に対する情報提供をおろそかにする。政府も東電も、3.11前とまったく体質が変わっていないということが改めて明らかになったと思います。

〈中略〉

原発再稼働許さず、原発ゼロをめざして国民的なたたかいを


国民に情報を隠しながら、これまでの説明よりはるかに大きな被害が広がっているということは新しい国会のなかで私ども徹底追及していきたいわけですけれど、お盆明けには漁業団体の皆さんからも懇談したいとの申し入れもありまして、あらためて国民的なたたかいをしていきたいと思っております。
そして、このことを通じて改めて原発事故というのはいったん起きてしまうと取り返しのつかない、想像のつかない被害をもたらすということを私たちの前に明らかにしております。地下水の流れというのはなかなかわかりませんし、漏れ出さないように汲み上げますと、地下の水位が変わってしまってまた変な所に水がということになってしまう。きわめて困難です。事故を起こしてから対策をするのではなくて、やっぱりもとを断つしかないということが改めて浮き彫りになっていると思います。
私たちは参議院選挙のなかでも、まずは原発事故の収束宣言を撤回しろと、そしてあらゆる英知を結集して、汚染水対策と廃炉にすすめということを申し上げてきました。私も収束宣言の撤回を総理に求めたわけですが、「収束と言ったのは前の政権だから、私が撤回するのはおかしい」などと屁理屈をこねておりました。「だったら収束していないという宣言をしろ」と言ったわけですが、ごにょごにょと言って逃げていました。事故の収束と廃炉、除染と賠償をあらゆる英知を結集してすすめることを強く求めていくことがまず必要だろうと思っています。
二つ目は、原発再稼働の方針を撤回して、輸出政策を中止することを迫っていきたいと思います。新しい基準値というのがつくられましたけれども、そもそも基準自体、諸外国では数年かけてつくるものを、法律で7月中につくるということなっていまして、きわめて拙速につくられました。中身を見れば、例えば地下に活断層があっても地表に露呈していなければ大丈夫であるということになっていますし、それから原子力の技術者の皆さんは、そもそもプラントの強度自身を見直すべきだということを言っているんです。しかし今回の基準というのは、今の原子炉の強度はそのままにしておいて、事故が起きて内部の圧力が強まったときに、いわゆるベントの機能をつくって格納容器が壊れないようにするという対策になっています。過酷事故が起きれば、ベントを通じて大量に放射性物質を放出するということが前提の計画になっているんですね。既存の原子炉のプラントよりも強度を高めようとすると、いままであるやつは全部使えなくなっちゃうわけです。今まであるのを使うという前提で事故が起きれば外に出すということになっている。などなど、大変な抜け穴だらけでありまして、およそ総理が言うような世界一安全といえるものではありません。
そもそも人類にコントロールができないものでありまして、地震大国日本において安全といえる原発はないんだという点でたたかいを強めていきたいと思っています。その上で、原発ゼロの政治決断を行なって再生可能エネルギーへの抜本的な転換をすすめていくと、この3つを進めるべきだということを参議院選挙のなかでも訴えてまいりました。

〈中略〉

選挙後、各地で開かれている金曜日の行動も、新しい参加者も加えて広がりを見せています。国会内外でそういう皆さんとも力をあわせて、原発再稼働を許さず、原発ゼロの新しい日本にむかって、いっしょにがんばり抜いていきたいと思っています。そのことをお誓い申し上げて報告と決意としたいと思います。